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 白くてモッサモサの毛並み、俺たちからすればベットと同じ位またはそれ以上の大きさ、
そして妙にゴツイ引き締まった肉体、頑丈な爪、野生を物語っている両目、犬に見えそう
で明らかに違いが分かる。
大きくて強そうな牙の揃った口、エアコンのCMではデフォルメで小さな体にされて表現さ
れているかの野生動物、ドキュメンタリーでよく話題にされる北極の問題に出てくる
アイツ・・・、実は可愛いんじゃね?とアイツの子供に近づけば確実に食奴に食われる・・・,
みんなは分かっただろうか?
 そう、白熊である。日本では動物園にしかいない、というかいたとしても普通に白ではなく
茶色っぽい黒だ。
 え?・・・なぜ今こんな話をしてるかって?ははは、分かりきった事を・・・だって・・・
「・・・奏・・・?」
 殺生に連れられて、俺らが良く知っていてそこになるハズの無い雪山の目的地付近と
見られる場所に俺たち(殺生、蜜李、洋介、俺)4人は立ち止まっていた。
 洋介はあるものを見上げながら俺を呼んだ。
「・・・どうした洋介?」
 そして俺もあるものを見上げながら返事した。
「日本・・・だよな・・・ここ・・・。」
「日本だろ・・・」
 俺たちが見上げているものは静かに俺たちを見つめていた。
「だよな・・・」
「・・・」
 俺たちはあまりにも唐突で不自然な状況に直面し、出す言葉も無かった。
 洋介は限界が来ているらしく、硬直した顔が緩く、もっと緩く、緩むに
緩みきった顔に変化していった。
「・・・ほらなぁ、いったやろぉ・・・?」
 今にも天に召されそうな顔で、今にも宙に浮くのではないかと思うような声で洋介は言った。
「モッサモサのふわふわなデッカイ布団があるって・・・」
「ッ!!!」
 なんという事だ、コイツがさっき言っていたことはこのことだったのかッ!?
「しかも純白だぜ?」
「待て、アレで寝る気かッ!?・・・ッ!?」
 洋介と反対方向にいた蜜李が急に目の前の野生の白い猛獣に向かって走り出した。
「おいっ、危ないって!!」
 蜜李は俺の忠告を聞かずにその白き猛獣にボフッと、抱きついた。
「・・・お、おい・・・」
 しばらく沈黙が続いているなか、蜜李は白き猛獣のモッサモサの毛に顔を埋[うず]めて
温もりを味わっていた。
 顔を横に向け、酸素を吸い込んだかと思うと幸せな顔をしていた。
「ふわふわぁ♪」
「この状況でそのネタ禁止ッ!!!」
 俺が蜜李をあの野獣から引き離そうと近づくが、奴の片目が俺を捕らえていてそれ以上
近づけなくなった。
多分、近づいたら・・・死亡フラグが・・・。 
「・・・なにをそんなに驚く必要がある?」
 殺生は俺の肩を軽く叩きながらそう言った。
「いやいや、普通驚くだろ・・・日本の山に白熊だぞ?」
「動物園から逃げ出したとかは考えられるであろう?」
「だったら非難警報とか出てたりするだろ?」
「では、突然変異などはどうだろうか?」
「別に雪が積もってるからって色が変わるわけじゃねーし、そもそも白熊どころか
熊ですらこの町にはおらんわ!!」
 こんなときにボケないでくれないかなぁっ!!
「では、コレは考えられないか?」
「ん?」
「ある人物がどこかからか白熊を購入して飼っていたが、大きくなりすぎて飼えなくなり
この雪山に捨てた。」
「・・・。」
「その熊をこの山で見つけた者が、この雪山で自然飼育しているのだとしたら?」
「いやいや、それは物好き過ぎだろ!?」
「そして、今現在・・・この近くにいるとしたら?」
「・・・っ!?」
 んな馬鹿な・・・本当に飼ってるのか?誰が?・・・蜜李か?・・・まっさか~~~!
 と思ってる間に、殺生があの白熊になんのためらいも無く近づいてゆく・・・。
 そして、白熊との距離がわずか1メートルのところで殺生は立ち止まった。
「元気か?」
 殺生はそう言ってスーパーの袋から何かをあさる。って、さっき袋なんて持ってなかった
ような・・・?
「だいぶ腹減りのようだな・・・。」
 ・・・まさか殺生の奴、餌でも与える気じゃぁ・・・
「お前の好きな肉だ・・・特売だけどな、後で食すが良い。」
 そう言って、スーパーの袋から特売の肉を出して白熊に手渡した。
 白熊は、無言で肉を受け取った。
 ・・・この状況でこんな行動を見て、誰も気づかないものは居ないだろうな・・・。
 アレだ、最初にあんなこと言って、自分でしたって落ちだろ?狙ってんだろ?
ネタはバレバレだっつうの!
「よし、幕田 ウェル 仕事だ。」
 ほら~名前なんか付けちゃって~・・・、なんだその名前?幕田?ウェル?英語と漢字
が混ざってるよっ!!?
「・・・ああ、そういえばお前たちには紹介してなかったな?こいつは俺のペットだ。名前を・・・」
 はいはい、幕田 ウェル だろ?
「絵版ジェ麟 絵ー毛ー 幕田 ウェル だ。」
「それ、ネタじゃないよね?ネタがやりたかったから付けたんじゃないよね?」
「というのは冗談だ。」
 冗談かよ、いや冗談でよかったかも・・・熊が可愛そうだしな。
「幕田 ウェルカム だ。」
「歓迎してない?歓迎してるよね、絶対してるよね?」
「これから行く場所はコイツが居なけりゃたどり着けないのでな」
「俺のツッコミは無視か!!?」
「まず、蜜李そこから離れてくれないか?」
「ふえ?りょうか~い!」
 蜜は熊から離れて俺の前に来ると熊のほうを振り返った。
「行き方は簡単で幕田 ウェルに投げてもらうだけ・・・」
 殺生がそう言うと、熊は殺生のわき腹を掴んで真左に投げた。
 って、ホントにやるのかよっ!しかも話の途中だしっ!?
「なんだか面白そう!」
 そう言って蜜李は熊の目の前に立つと、熊はさっきと同じように優しく蜜李の持って左に投げた。
 どうやら問題は無いようだ、にしてもどうなってんだ?あいつ等が投げられた方向からは何も聞
こえないし、ここからでもあいつ等が飛んでくとこぐらいは見えるハズ、なのに影すら見えない・・・
どうしてだ?
「ようし!次は俺だ!」
 洋介はそう言って熊の見の前に立った。
「よし来い!」
 洋介は少し腕を上げながら熊に合図を送った。
 すると、熊は左手を真上に振り上げ横から大振りで洋介のわき腹に手とうを入れた。
 そこに大きな衝撃を喰らった洋介の体は横にくの字になりそこから元に戻るのと同時に真左に
猛スピードで飛んで行(もしくは逝?)った。
 ・・・うそだろ?殺生と蜜李は優しく投げられて洋介は手とうだとッ!?じゃぁ、俺は?
「・・・・・・。」
 とテンパってる間に何故か熊が目の前まで来ていた、いや、どうやら俺が熊の前まで来てしまった
らしい・・・。
「はは・・・ははは・・・。」
 とりあえず笑うしか無くなった、いまの俺に逃げるという選択肢が選べなかった。
 なぜなら・・・・・・何故か全身(顔以外)金縛りに遭うと言う前代未門な展開が発生したからだ。
 俺には何も出来ないのだろうか・・・、いや待てよ、金縛りになるのは目的地に行く為の儀式の様な
もので,それが普通なのかもしれない、それに洋介が殴られたのは特別で何か気に障る事でも
あったんじゃ、だとすると別に俺は殴られる心配は無いと言う事・・・うん、そうに違いない・・・。
「・・・ははは・・・お、お手柔らかに・・・」
 そう言うと、熊の顔が一瞬ニヤリと微笑んだ。
 その瞬間、右側の頭部にものすごい衝撃とかなり鈍い音が響くのと同時に一瞬にして視界を暗闇が覆った。

   *****************************

 目が覚めたとき、まだ暗闇しか見えていなかった。
 いや、暗闇と言うには明るかった。
 なんだか外側から赤い色が見えてきた。
 空・・・なのだろうか・・・・・?
「目が覚めたか?」
 俺の頭上から声が聞こえた。
 この声は・・・洋介か・・・?
 とりあえず俺は、その場から起き上がった。
「・・・なんだ、ここは・・・?」
 今は夜なのだろうか、頭上は暗かった。
 月や星など一つも無く、ただ暗かった。
 けど全然周りが見えないと言うわけでもなかった。
 暗い夜空を丸く囲むように赤い色が光っていて、かと言ってこの真っ白い雪が広がる景色を
赤く染め上げてはいなかった。
 白い雪は白のままに、俺らの服や肌もそのままの色に光が照らされていた。
 ーーーーーー本当にここは何なんだ?-----
「にしても凄い飛ばされ方したな・・・」
 洋介は俺の足元を見下ろしてそう言った。
「・・・確かに」
 俺も自分の足音を見下ろした。
 そこには何かを引きずった、いや何か墜落したような跡が出来ていた。
 それを作ったのは紛れも無く俺だ・・・。
「きっと燃料漏れとかでトラブルがあったんだな・・・」
「俺は飛行機か?」
 洋介にツッコミを入れるついでに奴の後ろをチラリと見た。
「・・・ん?ああ、ソウのとは着地がちょっと違うな・・・なんか気が付いたら直径約8メートル位の
丸いクレーターが・・・」
「お前は隕石か!?」
 なんだ、この二段ボケツッコミは・・・?
「あ!奏四郎君起きたんだ?みてみて、雪だるまー!!?」
 声が聞こえる方を見るとそこには蜜李がエッヘンと誇らしげに立っていて、その横には
蜜李が雪だるまと呼んでいるものがおいてあった。
 その雪だるまは、一般の人が抱くイメージからはずれ、独創的だった。
 彼女の足元には大きく濁りの無い白い玉があり、そこから細長い体が天を目指すかのように
螺旋を描きながら天井を見つめる顔は、
ワニのように大きな口で体の3分の1もの長さを持つ髭をなびかせ、長くのびたタテガミとたくましく
伸びた二本の角は人が決して体験する
事の出来ない長き年月を経た事を物語り、獅子の様な雄々しさが伝わってくる。また、雄々しさとは
別に民を見守る優しさが垣間見えて、な
んだか不思議な気持ちにさせられる。
「・・・ッだるまッ!?コレが雪だるまっ!?」
 あぶねぇっ!ボケの滞空時間が長かったぁ!何説明してたの俺っ!!?
「雪だるま下手・・・かなぁ・・・?」
「コレを雪だるまと呼ぶのはヘンだと思うぞ?というか雪像じゃね?てか普通に凄い!!」
 つかありえねぇだろ!何メートルあるんだよこの雪像っ!?
「実は題名があるんだけど・・・」
「・・・?なんて題名?」
 一応聞いてみることにした。
 まぁ、小学生の女子のことだから、なんかこうファンタジックな題名なんだろうな・・・。
「ぴ・・・」
「ぴ・・・?」
「ピートとドラゴン・・・」
 へぇ、ピートとドラゴン・・・ああ、このドデカイドラゴンにのった少年ということ・・・
「アレ?ドラゴンはイイとしてピートは?」
「・・・目の前に・・・。」
「俺かよ!」
 ・・・俺が乗るのかな・・・?
「チっグァーウッ!!あのドラゴンは西洋風のコメディアーンなデザウィンでしたぁ!けして
東洋の龍神のようなホッソナッガーイ生物じゃありませんでしたぁ!」
 洋介が一種の芸術なのかも知れない龍の雪像の題名にイチャモンをつけに蜜李に近づいていった。
「つーか、お前口調が少しヘンだぞ?」
「しかもあの映画は、実写にアニメをあわせたなんとなくその勇気を評価したくなる作品なんだぞ!!」
「無視かよ!?しかもなにか語っちゃてるし。」
「大体なぜチミのような小学生がその題名知ってるのかねぃ?」
「お前も小学生だろ?」
「テレビで放送したのが現代の高校卒業する生徒が見たことがあるかどうかも定かじゃない時の作品
なんだぞ!?」
「お前こそよく知ってんな?」
 とりあえずなんか語っちゃってる洋介を止めなければ奴に付いてけなくなる・・・どうすれば・・・?
「ええ~?んじゃぁ、ピートとドラゴンはやめて昇天にする。」
 蜜李はそう言って龍の雪像を指差した。
 なるほど、コレはなかなか良いんじゃないか?ちょうど龍が天高く昇る的な感じだし。
「龍が卵から孵る前に天に召されるようなそんな感じの題名にしてみたんだけど、どうかな?」
「それは可哀想な龍だな・・・」
 俺が思い描いていたイメージとはかなり違うなぁ、てか悲しい題名になっちゃったよ・・・。
「おい、奏!」
「ん?」
 いつの間にか俺の後ろの方にいる洋介に呼ばれて振り返った。
「雪像作ったぜい!」 
 洋介はスコップを雪の地面に刺して誇らしげに立って、奴が雪像と呼んでいるものに指差した。
 その雪像を見てみると、雪像というには白でなく透明でまるでガラス細工のように透けていた。
「コレは明らかに氷像だろ・・・」
 しかも、デカイ・・・・。
「題名聞きたいか?」
「言いたいんだな?」
 洋介は、「しょうがないなぁ・・・」とニヤニヤしながら言った。別にどうでもイイんだけど・・・。
「題名:奏四郎(米)」
「はッ!?・・・え?」
 俺は慌てて洋介が作った氷像を見上げた。
 美術品を置く良くある大きな土台を氷で再現されていて、今にも芸術作品が置かれるのではないかと
言ってしまうほど良く出来ていて、その上に氷の光が反射してちょうど体がテカッてて肉体美をリアルに
表現している長身で重火器を装備しまくった外国風味の男の氷像が、勇ましさを解き放っていた。
「NO,I DON`T !!!!!!!」
 あの銅像が自分だとっ!!!すでに体格差が違うでは無いか!!もはや勝てる気がしねえ!!
相手が氷像なのにすでに俺に敗北と言う烙印を押された気分だ!!
「てか出身がすでに違う気がするが!?」
「だから言っただろう(米)と・・・」
 (米)ッ!!?何だと!?あのいかにも「ガイル」って感じの軍人に「奏四郎」だと!?武士道精神が
ありそうな勢いだ!!
「それにしても何で洋介がスコップを持ってんだ?」
 今頃だが、気になって仕方ない。
「それは俺が用意したのだよ。」
 俺のすぐ後ろから今回の主催者の声が聞こえた。
「そんな事だろうと思ってたけど、今知りたいのはお前がいつから俺の背後にいたかだ。」
 さっきから居ないと思ったら隠れていやがったか・・・。
「気配を消して人の背後に憑く事など、雪を踏まずに行ける我にとっては容易い事だが?」
「お前は悪霊か!?」
 そうツッコンで後ろを振り返った。
「まぁまぁ、そうカッカしなさんなって・・・それよりこの場所は気にいったか?」
 この今回の主催者こと殺生が雪像の龍を見上げて言った。
 俺はそう言われた俺は、久しぶりの雪に心の底からはしゃいでる蜜李や洋介を見て、
自分も久しぶりに雪で遊びたくなった。
「よし、雪合戦だ!!」
 洋介がテンションを上げてそう叫ぶと、蜜李は「オーーー!!!」と返事して雪だまを作り始めた。
 あの二人は本当に良い顔していた。子供だなと思える。またそれに交ざりたいと思う自分も子供だ、と思う。
 俺は足元の雪を両手で掴み片手で丸く調節して洋介に投げた。
「まぁ、変な所だけどなかなかイイじゃん。」
 俺はそう言って殺生の方をチラ見した。
「うむ・・・。」 
 返事はそんなんでもないけど、殺生の顔は満足してるようだった。

 ************************************

「ところで、帰りはどうやって出るんだ?」
 俺は少し気になって殺生に聞いてみると・・・
「もちろん、行きと同じビジネスで・・・」
 と殺生がそう言うと、雪の中から中年以上の男性のような動きであの時の白熊が出てきた。
 一瞬にして忘れかけていたあの時の記憶が甦ってきた。
 それによって物凄い寒気が俺の背中を襲った。

        ・・・・・・・・なんてこったい・・・・・・

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年齢:
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性別:
男性
誕生日:
1989/09/23
職業:
未定
趣味:
ゲーム、アニメ
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