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 休みが明けて、何日もたち2月の終わりに入った今日この頃・・・。
「おはよう、奏四郎君!」
「おはよう。」
 普段どおりに教室に入って、蜜李と挨拶し自分の机にかばんを置く。
「宿題やってきた?」
 俺の前の席が蜜李で、朝は良く会話をする。
 理由は、教室に着くのが7時前後でクラスメートがまだ来てないからで、決して友人が少ないといった悲しい理由とかでは無い。
「・・・あ、全くやってねぇや・・・、なんの宿題だったっけ?」
 昨日ゲームにハマり過ぎてすっかり忘れてた・・・。
「計算のプリントだよ?」
「なぜに疑問系?」
「なぜだろう?」
 ・・・とりあえず、今からやるか・・・。
「ちなみに何時間目に出せば良いんだっけ?」
「たしか・・・4時間目の最初だったと思うよ。」
 4時間目か、昼休みも使えば余裕だな・・・。
「間に合うかな?」
 蜜李は俺がハイスピードで答えを埋めている計算プリントをジッと見つめながら聞いてきた。
「昼休みも使えば出来るだろ。」
「おお、さすがLV45!」
「LV?なんのLV!?」
「ん~・・・・・・、・・・なんのLVがいい?」
「いや、俺に聞かれても・・・。」
「ん~・・・・・・・。」
 蜜李が何か考え中に俺はさっさと答えを書いていく。 
 にしても、なんのLVかで本気で考える辺り子供らしいよな・・・まぁ実際子供だけど・・・。
「んじゃぁ、歳とか?」
「歳?」
 ・・・歳?歳って・・・。
「うん、1歳でLV1として考えるのはどうかなぁ?」
 蜜李は、「名案でしょ♪」的な笑顔で俺の返答を待っていた。
「LV45・・・、・・・!?」
 この俺が45歳だとぉぉぉぉぉッ!!?
「いやいやいや、歳はさすがにやばいって!俺45歳にして小学生って事になるぞ?」
「そうだよねぇ、小学生で45歳は無いよねぇ・・・。」
 当たり前だろ・・・、と言うかおぞましい事を発言するなぁ・・・蜜李は・・・。
  そして、しばらく沈黙が続いた。
 その間蜜李はまた課題のプリントをジッと見ていた。
 にしても静かだ・・・それになんで蜜李はプリントを見つめてんだ・・・?
 蜜李の視線を気にしながら問題の答えを埋めてどの位時間が経ったんだろうか、何か異様な空気が漂ってる気がする。 
 気のせいだろうか、教室に人がまったく入って来てないような・・・30分は経った気がするのに1人も来ないなんて・・・。
「蜜李・・・」
「ん?どうしたの奏四楼君?」
「さっきからなんで俺のプリントを見てんだ?」
 俺は問題を解きながらそう言った。
「ん・・・答え合わせしてるの・・・。」
 蜜李はジッとプリントを見ながらそう言った。
「自分のプリントは?」
「・・・あ~そっか、見比べないと分かんないよねぇ~」
 蜜李は俺のプリントから視線を逸らし自分の鞄から俺のと同じプリントを探し始めた。
 俺は問題を解いていたが気配でそれが分かった。
 しかし、蜜李が視線を外したにも関わらずまだ視線を感じるのは何故だ・・・?
 蜜李はまだプリントを探している・・・って事は、・・・もう一人誰か居る!!?
 だが、教室に入って来たなら蜜李はそれに気づき必ず挨拶を交わすハズ・・・、しかしそんな行動は見受けられなかった・・・
とすると、最初っからこの部屋に居た・・・!?いやいや、だったら俺も気づくハズだ、もし誰か居たとすれば蜜李との会話が弾み今この場の異様な空気と静けさなんて無かった・・・。
・・・きっと俺の気のせいだ。
「あった、・・・奏四楼君今どこまで出来てるの?」
 蜜李はプリントを見つけると俺の回答を覗き込んだ。
「あと1・2問で終るとこ」
「早いね!さすが高性能ッ!」
「高性能?そうか?」
 また何か言い出した・・・今度は何に例える気だ?
「そう高性能!例えるとパソコン!」
 パソコンか・・・、まぁ高性能とか言えば思いつくのは大体パソコンだな・・・。
「え~と・・・ようりょう・・・だっけ?それが・・・・・・」
 蜜李は必死に思い出そうとしていた。
 アレだろうな、TVのCMや新聞に挟まってる広告を見たか電気屋とかで見たかで知ったつもりなんだろな・・・。
 多分、パソコンの容量の事だろう・・・分からないのは単位か?
 でも要量だけじゃないぞ性能は・・・
「ご、50・・キロ・・・?」
 ・・・少なッ!!?50㌔バイトはねーよ、キロはッ!?普通にギガだろ・・・!
「・・グラム・・・?」
 パソコンが50kgッ!!?重いよ!!
「奏四楼君?」
「ん?」
「やっぱりパソコンって重いほうが高せい・・・」
「まったくもって違うからな?」
***************** 
 ようやく宿題のプリントを終らせ自由な時間を得た俺は時計を確認した。
「7時・・・15分か・・・・。」
 思ったより時間は経って無いな・・・。
「問題解くの早いね」
「ああ、んまぁね・・・。」
 俺もビックリだ・・・あの異様な雰囲気の中で宿題がすぐに終るとは・・・。
「そういえばそろそろ誰か登校してくるんじゃないかなぁ?」
 蜜李がそう言っている間に1人教室に入ってきた。
「あ、おはよう和田君!」
「・・・んを・・・、う~す・・・。」
 教室に入ってきて眠そうに蜜李に挨拶を返した人物は 和田 俊矢(わだ としや)、いつも眠そうにしていて
授業では熟睡するという典型的なサボり魔だ。しかし、いつも熟睡の仕方は先生を挑発してんだよなぁ・・・。
「宿題やってきた?」
「・・・多分・・・」
 俊矢はそう返事すると自分の席に着き早速寝てしまった・・・しかも耳にイヤホンをはめて・・・。
 そう、そのイヤホンが先生を挑発している原因だ。
「あ、そういえば今日は、私が日直だったんだ!」
 そう言って蜜李は前の黒板のほうへ歩いていった。
「日直・・・そういえばもう1人の日直はどうしたんだ?」
「そう言えば、まだ来てないよねぇ。確か殺生君じゃなかったっけ?」
「殺生・・・」 
 だったら30分頃に来るはず・・・やつは朝に弱そうな性格してるからな・・・。
「あれ?黒板のチョークがもう補充してあるよ?」
「そうなのか?」
 そう言えば教室入ったとき花瓶の花も取り替えてあったし、水槽の魚にも餌をやってたけ遺跡が・・・。
「花瓶の花と水槽の魚の餌はお前がやったのか?」
 と、とりあえず聞いてみることにした。
「え?私やってないよ、私がここに入って直ぐに奏四楼君が来たから・・・」
「・・・そうか・・・。」
 って事はアイツがやったってことか・・・もう既に来てると言う事か・・・しかも俺らが来る前に・・・。
「殺生君来てるのかなぁ?」
「多分な・・・。」
 殺生の奴まさか隠れてるんじゃ・・・
 にしても誰かの視線が・・・。
 そう思って辺りを見回すが俺と蜜李と俊矢以外の人はいなかった。
 しかし、今もずっと誰かの視線を感じる・・・。
 しかも頭の旋毛(つむじ)に集中してる気が・・・とりあえず周囲に怪しい面影が無いなら上を確認!っているわけないか・・・。
 そう思いながらも真上を向いてみた。
「・・・。」
 俺は一言も声が出なかった。
 何かが直ぐ真下の俺をジッと見ていたのだ。
 真顔で、身動き一つせず、心も何も無い只の物のように動く気配が無く只こちらをジッと見ていた。
「・・・」
 しばらく頭が真っ白になっていたが、この身動きしないヤツはアイツに間違いない。
 そのアイツは顔をなにか裏のある笑顔になりゆっくりと口を開けた。
「・・・ぅおはよう」
 ヤツはそう言って、より黒い笑顔になった。
「おはようじゃねぇよッ!!お前いつからそんなところにいんだよッ!!?」
  俺はとりあえずその場から離れた。ヤツが何かやらかす前に・・・。
「蜜李が教室に入る3分前くらいからココで待機していたのだがな・・・」
「つまり最初から居たんだな?」
 そう言うとヤツはコクリと頷いた。
「さっきから感じていた視線はお前だったと・・・。」
「無論、しかし今頃気づくとは・・・修行が足りんな・・・。」
「なんの修行だよ!」
 ヤツは俺が離れたのを確認すると天井から真下に落ちて綺麗に着地した。
「お~!今の凄いね殺生君!!どうやったの!?」
 蜜李は奴・・・殺生が今まで居た天井を見上げて自分もやりたそうな顔をしていた。
「朝から元気だな蜜李殿は・・・。」
「お前も十分元気だ、てか殿って・・・」
 殿・・・?殺生のマイブームなのか?
「ん?どうした奏四楼、何か不満でも?」
「いや・・・」
 俺のときは殿をつけないんだな、って事は今のはボケたのか?
「あ!殺生君、おはよう!」
 蜜李は改めて挨拶する。
「うむ、おはよう・・・蜜李殿はいつも礼儀正しいな。」
 殺生はそう言って俺の方を見てフッと笑った。
 俺がお前に挨拶しなかったことに不満を持ってるんだな?
「・・・いやいや、只挑発しただけの事・・・」
 また心読まれたッ!!?
「別に読もうとしたわけでは・・・このアンテナを使ってたらおぬしの電波が入ってきただけのこと。」
 そう言って殺生は折り紙で作られた様な小さいパラボラアンテナを出してきた。
「ってそれ折り紙だろ、電波受信できないだろ!」
「実際に聞こえたのは事実だ、まぁおぬし自身電波だからなぁ・・・。」
「お前に言われたくねぇよ、ってか俺が電波!?」
「とりあえずこのアンテナは片付けるか・・・。」
 殺生はそう言って折り紙素材のパラポラアンテナを手で握り潰しゴミ箱に投げ捨てた。
「アンテナ捨てんのか?」
「捨てたのでは無い、小さくしてゴミ箱に収納しただけのこと・・・」
「それを捨てるって言うんだよ!!」
  取り合えず俺は椅子に座る。
 殺生は手をプラプラさせて自分の席に戻ろうとした(ちなみに席は俺の斜め横だ)。
「殺生君、さっきの天井にぶら下がってるやつ・・・あれ、どうやったの?」
 蜜李はさっきのアレに大変興味を持っている。
「ほう、さっきのに興味があると?」
「うん。」
「では教えてしんぜよう!」
 別に興味は無いのだが実際にやられると困るな・・・俺の席のちょうど真上だし・・・。
「そこの奏四楼の席の真上辺りに何かフックの様なものが見えるであろう?」
「お~そういえば何かついてる!」
「そのフックにこの頑丈なヒモを引っ掛ける訳だ。」
 そう言って殺生は、袖からやたら長いヒモを出した。
「なんでそんなに長いの?」
「それはだな、このヒモの長さを調節することによってぶら下がる高さを調節できるのだよ。」
「おおッ!なんかカッコイイッ!!」
 そうか?俺には奇怪な者に見えるぞ?
「そう言えばさっきの殺生のぶら下がりかたってアレに似てるな・・・。」
「・・・アレって?」
 なんか言いずらいなぁ、アレに引っかかんない程度に言いまわすか・・・。
「・・・クモ男。」
「クモ・・・男?」
「フム、アレの事だな?アメリカで人気のコミックを映画化して今では3部作出ていると言う
アメリカンヒーローもののことであろう?」
「まぁな」
「しかし和訳するとは、伏せ字にすれば良い者の・・・。」
 殺生は「なってないなぁ・・・」と目で俺に訴えた。
「クモ男?・・・あ!スパイダー・・・」
 蜜李が答えを言いかけたその時、何者かが走ってくる足音が聞こえた。
 その足音の主がこの教室に来るのに時間はかからなかった。
「スパイダー?ノーッ!」
 その主の服が見えたとき、ソイツの手は教室のドアの上の部分を掴み遠心力を使って俺にとび蹴りをしようとしていた。
 しかも何か言ってるし・・・。
「spider man!!!!!!!!!!!!」
 ソイツはそう叫びながら勢いよく跳んだ、右足を伸ばし俺の顔目掛けて勢い良く。
 だがしかし、その足が俺に届く前に横から細くて網目の粗い網がソイツを包み込み目的地である俺の頭上を越え教室の硬い床に叩きつけられた。
「フボッ!!ズゥボラッ!!」
 床に叩き叩き付けられたあと跳んだときの勢いが残っていて、窓側の壁まで転がってぶつかった。
 少し経つとソイツは網にかかったまま低い体制で立ち上がりクモ男のあのポーズをして「spider man!!!!」と叫んだ。
「カッコ良く無いぞ!?網にかかってる時点でさらにカッコ良くないぞ!!」
 しかし、あの網はやはり殺生がやったのでは・・・?・・・絶対奴だな・・・。
「このようにして瞬時に網に早代わり」
 殺生は気分が乗ってるのか、なんだかハキハキしていた。
 ・・・このSめ・・・、・・・あ、ヤベッ!!奴は、心読めるんだった!?
「凄い!それ私にも出来るの?」
「うむ、少々練習に時間が掛かるが必ずできるようになる。」
 そう言って殺生は自分の鞄からもう一つの長いヒモを取り出して蜜李に渡した。
 ・・・って、何故にもう1つッ!?
「それと今回は特別に説明書をぷらいす。」
 説明書・・・?・・・何か計算されているような気がする・・・。
「え~と、基本その①、かの男のように誰かに向かってヒモを飛ばしましょう・・・」
 蜜李は説明書を音読しながらその通りに準備をしていた。
「・・・あれ?なんで先端におもりが付いてるの?」
「それはより遠くに飛ばせるようにしたのでな」
「そうなんだ?」
「・・・の前にあるものを渡すのを忘れていた。」
 そう言ってまた鞄から四角いプラスチックのおもちゃのようなものを取り出した。
「・・・何かの玩具で見たことあるような形だな・・・」
「さぁ、なんの事やら・・・別にプラスチックと重りを組み合わせた物に回転を加える物体のことでは・・・」
「うっすらと本音が出てるぞ。んで、その物体がブレスレットになってるようだが?」
 まぁ、なんとなく察しが付くけどな・・・。
「蜜李殿それをヒモを通した腕につけてみなされ、・・・あとの説明は面倒なので説明書を読んでセットしなされ。」
 殺生はそう言って、例の物体を蜜李に渡した。
「お前のそのしゃべり方はなんだ?」
「なぁに、只のキャラ付けさね・・・登場している以上印象が薄いのは避けたいのでな。」
「安心しろお前は充分キャラが立ってる。謎のどSキャラとしてな。」
 俺がそう言うと奴は笑みを浮かべ「いやいや、それ程でもありやせん」と照れていた。
「いやいや、褒めてないから・・・」
 しかし、殺生はいったい何がしたいんだ?
 さっきの天井にぶら下がってる事とか、あの時の・・・冬休みに行った雪山の事・・・あの山はいったい・・・。
「出来たよ?」
 蜜李は、腕にはめたあの玩具のリサイクル品を俺たちに見せた。
 ・・・なんだろうなぁ・・・それ見てるとなんだか・・・・・・やな展開が見えてくるんですけど・・・?
「うむ、ならばこの中で少しまともだと思う男子に標準を・・・」
 殺生はそう言ってジロッと俺を見た。
 完全に俺に向けろって言ってるよね?その目は・・・。
「まとも・・・えっと取り合えず・・・このクラスで物知りな奏四楼君!」
 やはり俺か!物知りでは無いが、やはり俺かッ!!
「うむ、標準はよいな?では、その丸いボタンをポチッと・・・」
「このボタンを・・・?」
 おいおい、なんか勝手に進んじゃってるよ?・・・なにあれ?押すとどうなるのかな?
 よし、ちょっと予想するか?えーと、まず飛ばす、・・・ヒモを飛ばす・・・ねぇ・・・、次オモリ付いてる・・・、
それで最後にあのいかにも何かを彷彿とさせるブレスレット(?)・・・。
 ・・・分かったのは飛ばすのはヒモじゃなくてオモリのほうだって事かな?あははははははは・・・。
「・・・それじゃ行くよ?1+1は~?」
「いやいや、写真じゃないんだから・・・っうお!!あぶなッ!!」
 蜜李が腕に装備したリサイクル品から俺に向かって何かが勢い良く飛んできた。・・・アレはオモリだ。
 俺はとっさにそれを避けたが、アレは果たして玩具と言えるのだろうか?
 オモリが俺の横を通過したとき風を切る音がハッキリと聞こえた。
 おいおい・・・こんなものどうする気だよ・・・。

 ”   ドスッ!!!  バラバラ・・・・・   ”

「・・・ん?」
 重りが俺の顔の横を通過した直後、後ろで何かに衝突した音がした。
 その何かは分かっているたぶんアレだろう、・・・壁だ。
 それにバラバラ・・・と言う音、多分ぶつかった時に壁のある部分が欠けたんだろう。
 まぁ、オモリのほうはあのおもちゃの威力じゃそんなに殺傷力は無いだろうし、そこら辺に落ちてんだろうな。
「・・・やれやれ・・・なにやってんだか・・・、・・・ッ!」
 そう言って俺は後ろを向くとそこには俺の予想と違い、重りが壁にめり込んでいた。
「ちょ、なにやってんのッ!!?」
 ・・・とてもあの玩具を改造したとは思えねぇ威力だ・・・。
「やりすぎなんじゃねぇすかねぇ、殺生さんよ!?」
 俺は殺生をジロッ!と睨んで突っ込んだ。
「いや~試作段階だったものでな、コレが最初のテストだったのだよ・・・。」
 殺生は俺と目を合わせないように視線を逸らした。
 その逸らし方は異様で右目は右に左目は左にと器用に動かしていた。
「目を逸らしてるという事は実証済みと言う事だな?ってかそれ怖いからやめろ!!」
「自分には責任は無いと思われる。」  
「どう見てもお前の責任だろ!!」
「ところで何の話でしたかな?」
 殺生はそう誤魔化し、堂々と蜜李に何かを巻くようなサインを送っていた。しかし蜜李はそのサインを見ても理解出来てなかったらしく少し戸惑っていたが、ようやく気づいたのか「ああ!」と言って重り付きのヒモを回収し始めた。
 俺はそれを一部始終見ていた。
「そういうサインは俺の見えないところでやるもんだぞ・・・?」
*****************
「和田君はいつまで寝てるんだろう・・・」
「また4時間目が終れば起きるよ・・・多分」
 結構前の方の席の女子は近くの友人と話していた。
 クラスメートが全員揃い1時間目の授業が始まる頃になる。
 しかし、準備をせず熟睡している奴が一人いた。
 朝来てから今に至るまで一度も起きなかった、そして今も寝ている・・・。
 和田 俊矢(わだ としや) 授業中熟睡してる時間クラスで1番、よく先生にツッコミをさせる。
 夜更かししているのかそれともそれが癖になっているのか、毎日学校で寝ている常習犯だ。 
「授業始めるぞ~、みんな席に着いてるかぁ?」
 そう言いながら1時間目の予鈴と同時に先生が教室に入ってきた。
 先生のやる気の無い声がいつも授業の始まりの合図になっている。
「うっす、このクラスの担任、箕輪 秋野(みのわ あきの)だ、よろしく~。」
 先生は急に自己紹介をはじめた。
 生徒たちは訳が分からずぽかーんとした顔で無言の状態で先生を見ていた。
 ・・・てか誰に言ってんの先生・・・?
「センセー、誰に言ってるんですかー?」
 蜜李は手を上げて質問する。
「いや、ただなんとなく言わないと駄目かなぁと誰かに・・・。」
 言った本人も知らんのか。 
「・・・さて、授業に入るぞ~、教科書の200ページを開きな」
 先生の言われたとおり生徒たちは教科書を開く。
 授業が始まると生徒たちは静かにノートを写している・・・一人を除いて・・・。
  静かになっているかと思えば何かのメロディが流れてきた。
 窓際の一番後ろの席、隣の席の女子はソイツをチラチラと見ながらノートを写している。
「・・・。」
 先生は黒板に字を書きながらジロッ!とある少年を見つめる。
「・・・、・・・はぁ・・・」
 またかとため息をつくとさっきの女子の隣の席まで歩いてきてそこにしゃがんだ。
「・・・今日はj-POP・・・か、しかも最近の曲だな・・・」
 先生はそう言ってその席の生徒の様子を伺う。
 しかし、奴は何の反応も無くずっと机に伏せている。
「だが、今はそれを聞く時間じゃないぞ?その前に持ってきちゃ駄目だろ・・・和田。」
 そう言って奴の・・・俊矢のイヤホンを外し、丸めた教科書で軽く頭を叩いた。
「・・・んを、・・・おはようございます・・・。」
 俊矢は先生をぼ~っと見ながら頭を掻いた。
「はいおはよう・・・、そんで没収・・・。」
 そう言って先生はイヤホンと連結した方も取り上げた。
「・・・ラジオ・・・何故にラジオ?CDとかMDは?」
「最近はまっていて・・・競馬。」
 曲聞いてたんじゃねーのかよッ!!?
「この歳でか?」
「この歳です。」
「・・・馬券・・・買ってないよな?」
「買ってます・・・親が。」
「・・・ならよし、だがとりあえず放課後まで没収だ。」
 そう言って先生はイヤホンを耳につけて教卓に戻った。・・・って、アレ・・・?
「お、単勝で当たった!早速親父に馬券を換金したか聞かないと!」
 そう言いながら教卓に戻り黒板に大きく字を書いた。
 黒板に書かれた字は「自習」、でかく堂々と書かれている。  
 というか授業中に聞くなよ・・・。
「よし、と言うわけでこの時間は私情のため自習にする。ドリル40ページと41ページをやっておけよ?」
 先生の「私情」という言葉でキレた生徒全員はみんな同じ言葉で怒鳴る。
「ふざけんな!!!」

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プロフィール
HN:
鷹の爪の皮
年齢:
35
性別:
男性
誕生日:
1989/09/23
職業:
未定
趣味:
ゲーム、アニメ
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